その6.博多から世界へ
水たき、世界へ還る。
西洋のコンソメと中国の鶏の水煮から博多で「水たき」が生まれて、百余年の時が流れました。
その間、シンプルだった水たきは、博多のごりょんさんによって野菜を加えた滋養たっぷりの家庭料理となり、そして祭りの男衆をねぎらうおもてなしの料理に。さらなる旨さを求めて鶏にこだわり、ぽん酢を工夫し、と洗練を重ね、紛れもない日本の、博多の味となりました。
そして、博多の味「華味鳥」の水たきは、2007年、その生まれ故郷・中国へ還ったのです。もちろん、それは大陸にとっても、まったく新しい味わいだったはず。
やがて、世界の人々が、美味しくヘルシーな和食のひとつとして、水たきを楽しむ日が来るかもしれません。その時、博多発の日本食、水たきのルーツが西洋料理や中国料理にあることを、果たして彼らは気づくでしょうか。